コーヒーに合う水の考察

お客さんと話していると、コーヒーを淹れる際の水の選び方をよく聞かれます。そこで、誰でも簡単に実践して貰えるように個人的に普段からよく飲む市販の水を使って抽出実験を行ってみました。

さて、実験の条件を決めます。

抽出器具
  • ドリッパー ・・・ カリタ式台形ドリッパー
  • フィルター ・・・ ペーパーフィルター
抽出条件
  • 豆の量   ・・・ 12g
  • 抽出量   ・・・ 140cc
  • 抽出温度  ・・・ 90℃
  • 抽出時間  ・・・ 1分30秒(蒸らし20秒)
使用する水
  • メーカー   品名
  • コカ・コーラ 森の水だより
  • コカ・コーラ いろはす
  • サントリー  南アルプスの天然水
  • キリン    アルカリイオンの水
  • キリン    ボルビック
  • ダノン    エビアン
  • イオン    炭酸水

同条件で抽出した溶液を口に含み評価しました。あくまで個人の意見ですが、以下結果を書きたいと思います。

森の水だより

  • 硬度  31.9
  • ph   7.7
  • 採水地 宮城県
  • 評価・・・ソフト酸味でクリーミーな印象
  • 点数・・・9/10

いろはす

  • 硬度  30.8
  • ph   6.9
  • 採水地 山梨県
  • 評価・・・エッジの利いた重めの酸味、果実感。
  • 点数・・・7/10

南アルプスの天然水

  • 硬度  30.0
  • ph   6.7
  • 採水地 山梨県
  • 評価・・・果実味はあるが、軽い酸味。クリアな印象。
  • 点数・・・9/10

アルカリイオンの水

  • 硬度  59.0
  • ph   8.8 ~9.4
  • 採水地 静岡県
  • 評価・・・渋みを伴うエッジのある酸味。
  • 点数・・・4/10

ボルビック

  • 硬度  60.0
  • ph   7.0
  • 採水地 フランス
  • 評価・・・レモンのような鋭い酸味。香りが変わる。
  • 点数・・・3/10

エビアン

  • 硬度  304.0
  • ph   7.2
  • 採水地 フランス
  • 評価・・・香りがなくなる。白コショウのよう。
  • 点数・・・1/10

炭酸水

  • 硬度  -
  • ph   -
  • 採水地 -
  • 評価・・・よく膨らむ。安いアメリカンコーヒーのよう。
  • 点数・・・1/10

いくつか意外な結果が出ました。硬水は使わないというのは定説でしたが、味、香りがなくなるとは思いませんでした。また、二酸化炭素の含有量がコーヒーの風味に影響を与えるとの噂を聞いたので炭酸水には期待していたのですが、全くの期待外れな結果に終わりました。

ひつじ珈琲ではお店の味のイメージに合う「森の水だより」を選びました。お出汁のようなコーヒーを目指しているので、やわらかさに優れている点でいいな、と感じました。果実味が好きな方は、南アルプスの天然水がいいかなと感じました。

今回はコーヒー豆を浅煎りの豆にしました。豆によって結果は変わると思うので一概に言えませんが、上記のような結果になりました。

ミネラルウォーターとしてはどのお水もお世話になっているので、甲乙つけがたいですね。

今後は、お湯の沸かし方での味の違いを試してみたいです。伝導熱で温めたお湯と対流熱で温めたお湯で味に変化があるのか、とても興味があります。

貝殻豆は本当にマズいのか

コーヒー豆を見ていると、たまに抜け殻のような豆が見つかることがあります。それは「貝殻豆」と呼ばれ、コーヒー屋さんによっては雑味の原因になると言われ、ハンドピックで取り除かれたりします。

ひつじ珈琲でも何となく取り除いているのですが、先日、果たして本当にまずいのかという疑問が湧いたので飲んでみることにしました。感覚なのですが、アフリカの豆は貝殻豆が多いような気がするのでケニアで実験してみることにします。

ハンドピックをしながら貝殻豆について調べてみました。

まずは「多胚」と呼ばれる現象からお話しすることにしましょう。

コーヒー豆はコーヒーノキの果実(コーヒーチェリー)の中に2個、向かい合うように入っています。そして2個のコーヒー豆はそれぞれパーチメントと呼ばれる殻に覆われています。つまり、パーチメントを脱殻して取り出したものがコーヒー豆という訳です。

しかし、稀に1つのパーチメントに2つ以上種子が入ることがあり、これを「多胚」と呼びます。

多胚となったコーヒー豆は重なったまま生長し、通常の2倍ほどの大きさの豆になります。これを「エレファントビーン」と呼びます。

毒々しく色づけされたイラストを見ていただくと、エレファントビーンの中には内側と外側のコーヒー豆があり、それぞれに分解できそうな様子がわかると思います。この外側の豆が貝殻豆となるのです。ちなみに内側は「耳豆」と呼ばれたりします。(ローカルルール?)

さてさて、ハンドピックが終わりました。

貝殻豆は軽く、これで6.6gでした。普通にプアオーバーして飲もうと思います。

いつものように粗挽きにします。コーヒー豆の量が少ないので台形のドリッパーで淹れようと思います。

通常の豆のコーヒーと飲み比べてみると、香り・甘味・コクに関しては特に違いはないと感じました。しかし、少しスモーキーな印象でチリチリとした苦味が舌の上で転がるような感覚がありました。(ということは貝殻豆に分子量が大きい成分が含まれているのか。)

確かに、クリーンカップを目指すのであればハンドピックした方がいいのかもしれないですね。

しかし、イエメンでは貝殻豆だけを集めて高級品として扱われているそうです。香り・甘味・コクに相違点がなかったことから、通常の豆と貝殻豆で成分的に違いがないと仮定すれば、火の通りが良い豆ということになるので生焼けを回避しやすい良いコーヒーなのかもしれませんね。

結論

混ざっている貝殻豆に関しては、クリーンカップを目指すのであれば取り除いた方が良い。貝殻豆の焼きムラが雑味を生む可能性がある。

ひつじ珈琲流 コーヒーの淹れ方(ペーパーフィルター編)

ひつじ珈琲流のコーヒーの淹れ方を紹介いたします。

私自身、まだまだ勉強中の身ですが、現状の考えをまとめてみました。色々な考え方があることは承知で文章にさせて頂きますので、温かい目でご覧ください。

◆レシピ◆

コーヒー豆・・・20g(粗挽き)

お湯(86℃)・・・300cc(蒸らし20cc込)

抽出時間・・・3分30秒(蒸らし30秒込)

※豆とお湯の量の目安

コーヒー豆(g) × (13~15) = お湯(cc)

◆淹れ方◆

①フィルターセット

フィルターをミシン目で折り、ドリッパーに密着させ粗挽きにしたコーヒー豆をセットします。

②温度管理

お湯の温度が86℃であることを確認します。湯温の目安は88℃~85℃です。理由は、苦み成分が高い温度でお湯にたくさん溶けてしまうからです。お砂糖が高温でたくさん溶ける様子を思い浮かべてもらうとわかりやすいと思います。この時点で器具やカップは温めておきます。

③蒸らし

全体を湿らすように20㏄のお湯を注ぎ、30秒間放置します。注ぐ量はドリッパーからサーバーへ数滴落ちる程度です。この作業を蒸らしと呼びます。蒸らしの効果は小麦粉を水で溶く様子を思い浮かべてもらうとわかりやすいと思います。小麦粉を水で溶くとき、玉にならないように最初に少量の水を入れると思います。コーヒーもドリッパーの中でコーヒーの粉が玉になりお湯の流れに偏りが出ないようにします。

③注ぐ

ドリッパーの中心から10円玉くらいの範囲にゆっくりお湯を注いでいきます。全体がハンバーグ上に膨らんできたら最大で500円玉程度まで「の」の字を描くようにお湯を注ぎます。「の」の字を描かない方が良い場合もありますが、鮮度が良い豆の場合、ドリッパー内で発生した炭酸ガスでお湯の通り道にムラができやすいので「の」の字を描くイメージの方がベターだと思います。

また、円錐型ドリッパーの場合注ぎ方で苦味や酸味をコントロールすることが出来ます。少し話が長くなりそうなので別の機会にお話しできたらと思います。

ドリッパーの淵から2cmにはお湯を注がないようにしましょう。コーヒーの粉の壁が崩れるとコーヒーの層を通過せずにお湯がサーバーへ落ちてしまいます。

④灰汁を切る

サーバーに280㏄のお湯が落ちたら、ドリッパー内のお湯は全て落とし切らずに捨てます。理由は、コーヒーの粉の上に乗っている泡は灰汁だからです。苦味成分は分子量が大きいので界面活性剤にくっつく性質があります。お湯を最後まで落としてしまうと灰汁と一緒に苦味成分がサーバー内に落ちてしまいます。

⑤撹拌

サーバーを軽く揺らして濃度ムラをなくします。コーヒーカップに注いで完成です。

最近、自分でこだわってコーヒーを淹れる方が多くなってきました。名前も「ハンドドリップ」から「プアオーバー」に変わり、お洒落になってきました。そんな中でお店やセミナーでコーヒーの淹れ方に関してたくさんの質問をいただきます。ひつじ珈琲流が全ての人のコーヒーの好みにマッチするとは思っていませんが、私の研究の成果が何かのお役に立てれば幸いです。